SAPICAに電子マネー搭載へ…ちょっと待った!

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今日の北海道新聞朝刊の記事から。
札幌の地下鉄・市電・民営バス陣営のICカード『SAPICA』に電子マネー機能が搭載されることになったようです。
開発と運用には北洋銀行が携わるとのこと。来年春頃から電子マネーサービスが始まるとともに、秋からは北洋銀行の複合キャッシュカードと一体型になったSAPICAも発行するとのこと。

スタートから一年を過ぎても、発行枚数15万枚、利用率2割に満たないSAPICA。正直なところ、タッチ&ゴーができてオートチャージ機能があるなどといった交通系ICカードには必須の機能以外にいい評判を聞くことは殆どないのが現状なのでして。そこへ来て昨年末からのIC専用改札機の設置が完全に導線を見誤っての配置となって混乱を招くなど、乗客からもマスコミからも本当にほぼ不評の声しか聴こえて来ない。全国を見渡しても、こんなに不憫な交通系ICカードもそうそうないでしょう(苦笑…)。

そして起死回生(!?)の次の一手として出して来たのが電子マネーの搭載なのですが、ここでやはり疑問がふたつ。
まずこの記事を読んでいると「本州資本に対抗した地元資本による電子マネー」。
・・・おいおい、またも独自仕様なのですか?
使える場所として地下鉄売店や大通地区などの商店街を挙げている他に、市の公共料金・施設の入場料の決済などを想定しているようですが、構想発表段階で憶測はできないとはいえ、JR北海道の『Kitaca』(≒JR東日本の『Suica』)などとの交通・物販の相互利用化が念頭に置かれているのか否かということには疑問を感じざるを得ません。
交通機関同様使えるエリアが限られては、せっかくの利便性も持ち腐れ。二枚持ち・三枚持ちを余儀なくされてしまいます。

そしてもう一つ。
やはり乗客からの最大の要望は市電・民営バスとの共通利用、そしてJR線との相互利用ではないでしょうか。
・・・つまり、やるべき優先順位を間違っちゃいませんか?
SAPICAの利用が伸びない最大の理由もまさにそこにあるのは明白でしょう。札幌の地下鉄は開業以来大規模な乗り継ぎ割引を実施しているわけですが(定期券だけでなく普通のきっぷでも適用しているのは全国的に見ても少数!)、その料金政策とSAPICAの現状はマッチしていません。
市電・バスの運賃箱をIC対応にさせるには一台あたり100〜150万円ほど掛かると言われ、路線の存続だけで手一杯の市電とバス各社には重い負担ではあります。しかし、現在の磁気式カードも導入から15年ほど、機器の老朽化も激しいわけですし、ここは国や道の補助制度も活用するとともに札幌市もこういうところにお金を掛けるべきです。地下鉄の改札機にIC専用機を入れるのはカードが普及してからで充分(最近同様に増えている首都圏ではカードが行き渡ってから始めました)。

つまり、やること成すことが本末転倒なのがSAPICAの現状なのです。

先週13日から、福岡の3つの交通機関(JR九州・福岡市地下鉄・西日本鉄道)が発行するICカードとSuicaの相互利用(交通・物販)が始まりました。開発当初から相互利用を想定して協議会を設け開発が進められたのは大英断だったことでしょう。何より”お客さま目線”が生きている。
翻って、ここ札幌。都市圏人口も、東京と経済的にも人的にも密接に結びついている環境も似ています。何故福岡でできて、札幌でできないのか。諸事情も分かります。でも札幌、そしてSAPICAに圧倒的に足りないのは”お客さま目線”なのです。

SAPICAをどう育てていきたいのか……市電・バス・他社線への拡大、電子マネーなどの多機能化など、どういう行程でいつ頃を目標にしていくのかが明確に示されない以上、利用者も評判も絶対に上向きません。
決して安くはない投資(第三セクターが運営しているということは、札幌市民の税金も投入されている!)をムダにしないためにも、何より乗客・利用者の目線に立った大英断を下していただきたいものです。

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Yuuki URYU

この「私信」を書いている人。 北海道・札幌を拠点に、写真作家として活動。他にも紙媒体を中心としたデザインの仕事や、編集・インタヴューからラジオパーソナリティの経験など、もはや自分は何屋なのかと思い続けて幾星霜。 昨今のSNS的/メッセンジャー的レスポンスに疲れて、ただ「私信」を書いてみたいと思い、実は2004年から設けているこのブログを復活。