『最終兵器彼女』を見た。

e3a9e046.jpg去年チラリとロケ現場(といってもその時は撮っていなかったのだけど……)を見てきた『最終兵器彼女』がいよいよロードショーになった。初日に見に行ってしまいました……。

まず、まさにあの時立っていた旭展望台や小樽商業高校、北運河の製缶工場の橋からいままさにこれを見ているステラプレイス、さらには僕たちが毎年夏の終わりに開いている「小樽・鉄路・写真展」会場すぐ側の公園……知ってる場所がどんどん出てきてそのたびにそこにもちろん惹かれたのだけど、何よりあくまで原作をなぞりながらも映画らしい独自の表現を作り出していたかな、と思う。

(つづきは多少のネタバレがあります……)


かなり原作やアニメの中であったシーンがオミットされていたのは、片や7巻、片や390分にも及んだ中から2時間にまとめ上げる過程の中では仕方のないことだと思う。”どうしてもこの場面は入れてほしかった”というのも確かにあるし。
でも、この映画は純粋に「ちょっと不器用な高校生の恋愛」を、もしかしたら原作よりアニメよりもまっすぐに描いているかもしれない。
日常が「戦場」になっていき、最愛の彼女が一国の命運を握る”最終兵器”に改造されてしまったということだけを除いたら、ちせとシュウジは本当に純でウブで(なんたってふたりをつなぐのが「交換日記」だからね)、「つきあう」ということのABCすらろくにわからないところから、迷い傷つきながら、お互いが向き合い、胸張って彼氏彼女だ、生きていくんだと信じられるまでに至るその過程は、あまりにせつなく救いようのない状況に追い込まれていっても、心底美しかった。その美しさは、見事に描き切っていたと思う。
「最彼」の原作・原点はまさに極上の恋愛ストーリーであり、少女マンガと青年コミックの見事なハイブリッド。妙にVFXがメカメカしすぎていたらどうしようと思ったのも、前田亜季と窪塚俊介がどこまでこの繊細で不器用な主人公たちに迫れるかというちょっとした心配も、杞憂だった。伊武雅刀演じる、ちせを改造した自衛隊の技術者・ムラセ(原作と名前が実は違うのだが)の冷酷ぶりは強烈だったし、原作ではシュウジをこれでもかと惑わせる先輩・ふゆみ(酒井美紀)を、映画ではそうではなく、戦地に赴いた夫のいない寂しさと先立たれた悲しみを背負う女性として描いていたのは、やはりあくまでも実写版・「最彼」を”ちせとシュウジの物語”として描こうとしたからであろう。

ネットのレビューを見ていると、かなりの酷評をもって迎えられているように感じる。コミック原作の実写化は常に「忠実」か「逸脱」かの論争を呼ぶものだ。でも、僕は映画には映画ならではの表現があると思うし、それを生かさないことには単なる原作の焼き直しに過ぎない。
物語を膨らませ、時には濃縮させて、真っ暗なシアターで見る人とまっすぐに対話させるような映像を作り上げる。まちがいなく、映画も最後は一対一で向き合って感じるメディアだと思うし、それは僕が作っている写真とも通じる。だから、僕はパンフレットにあった監督の思い……「ひとを好きになるってどういうことなんだろう」にも共感するところが多かったし、原作もアニメも知っているというのを引いたとしても、この一本は見てよかったと思っている。

追伸・・・なんとパンフには「鉄路展」の会場となる旧手宮線の線路の上、まさに僕たちが毎年作品を並べる場所にちせとシュウジが手をつないで立っている写真があった。その夜の「鉄路展」の新年会でみんなに見せまくりました……。
もうひとつ追伸・・・小樽の皆さま、もっと見に行きましょうよ、うん

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Yuuki URYU

この「私信」を書いている人。 北海道・札幌を拠点に、写真作家として活動。他にも紙媒体を中心としたデザインの仕事や、編集・インタヴューからラジオパーソナリティの経験など、もはや自分は何屋なのかと思い続けて幾星霜。 昨今のSNS的/メッセンジャー的レスポンスに疲れて、ただ「私信」を書いてみたいと思い、実は2004年から設けているこのブログを復活。