sorami的に「ICカード乗車券」を考える。

68cbbc8a.jpgすでに来年度中に統一されることが決定していた首都圏の私鉄・地下鉄・バスの共通ICカードの名前が「PASMO」(パスモ)に決まったという。僕が東京時代に愛用していたJR系のICカード「Suica」と共通化されるので、このどちらかを持っていれば首都圏のほぼどこへでも行けて、”駅ナカ”で買い物もできるようになるのだ。
もちろん待ちに待ったすばらしいサービスなのだけど(札幌圏のJRも来年度にはICカードが始まるらしいし、地下鉄・市電・バスもその後同調するようだけど……)、僕は「一枚のカードでどこへでも」とか「おさいふケータイで乗れる」とか「買い物もできる」の他にももっと考える余地があるような気がしているのだ。


まず、ここ札幌には存在する”のりつぎ割引”のようなものが東京にはあまりない。都内で言えばまず地下鉄や電車とバスとの間には全くそんな制度はないし(横浜にはある)、当然と言えば当然だが、異なる会社の電車をのりつぐとその都度初乗り運賃を払う羽目になるのは現金でも、現在ある「パスネット」(磁気共通カード)でも変わらない。
また、前払いをしているのに、それに見合うベネフィットが小さいような気がしてならない。札幌では「ウィズユーカード」を買うと、1000円券でも100円のプレミアムがある。でも、現行の「パスネット」と「Suica」にはそれがない(「バス共通カード」にはある)。ただ「先に払っといて、あとは乗る時にまごつかない」だけってのもどうだろうか。それでも充分なベネフィットではあるのだが、『私は公共交通を積極的に使います!』って言っているのに、何らかの割引制度があってもよさそうな気がするのだ。

僕が思うに、公共交通の一番使いづらい要因は、そうして多重にかかってしまう運賃ではないかと思う。
ヨーロッパで多くとられている「ゾーン制」という運賃制度がある。市内を中心部から同心円状にゾーン分けし、その区域内でなら電車、バスなどを何度乗り継いでも一度の運賃で済んだり、共通のきっぷで乗れたりする制度のことだ。この春行ったロンドンでもゾーン制がとられていて、そこでは「トラベルカード」という定期券(1日から1年用まである)を買うことによって、指定されたゾーン内(たとえば”ゾーン1〜3″を買うと、その範囲内全部)の地下鉄・バス・郊外電車に乗り放題になるという制度になっていた。しかも、「Suica」や今度導入される「PASMO」のようなICカード「oyster」を使うことによって、現金で乗るよりも割引があったり(来年から地下鉄は初乗り£3(600円!……日本のニュースでもちょっと話題になってたよね)だけど、このカードで乗ると半分の£1.50(300円)!)、また、たくさん乗ることによって一日乗車券の運賃に達したらそれ以上は差し引かれないといったサービスが実現していた。シンプルだから、観光客にも分かりやすい。これが現状の東京だと「Suica」と「パスネット」と「バス共通カード」を持っていないとダメだし、一枚で何にでも乗れるカードや一日乗車券そのものも存在していない。さぞ海外からの観光客には分かりづらいことこの上ないだろう。

東京は、とにかく私鉄・地下鉄なしではどこへも行きづらい。のりかえで長〜い通路を歩くのには慣れていても、気がつくとかなりの運賃を払っているのだ。確かに以前のようにいちいちきっぷを買う手間は「パスネット」などのおかげでなくなったが、ICカードになってもただそれだけというのはちょっと寂しい気がしてならない。
「公共交通を利用しよう!」というかけ声は、どこに行っても耳にする。僕も趣味的に(笑)各地の情報に触れたりしているけれど、でも、あまりこういった運賃制度には光が当たって来なかったのではないだろうか。せっかくカードでシームレスにどこへでも行けるようになるのなら、今度は運賃制度ももっとシンプルで、そして「電車で、バスで良かった」と思えるものにならないだろうか。

ともあれ、とても楽しみなのです。いずれ一枚のICカードで東京も大阪も、札幌もどこへでも行けるようになるのが。

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Yuuki URYU

この「私信」を書いている人。 北海道・札幌を拠点に、写真作家として活動。他にも紙媒体を中心としたデザインの仕事や、編集・インタヴューからラジオパーソナリティの経験など、もはや自分は何屋なのかと思い続けて幾星霜。 昨今のSNS的/メッセンジャー的レスポンスに疲れて、ただ「私信」を書いてみたいと思い、実は2004年から設けているこのブログを復活。